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zoom RSS 祝CD再復刻! ティーブ釜萢 / SING A SIMPLE MELODY

<<   作成日時 : 2007/05/30 19:03   >>

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ティーブ釜萢のことは何度か書いている。ムッシュのお父上で、森山良子のオジサンで、LA生まれの二世であった。ジャズ歌手という肩書きだが、ギターも巧かった。本名はTadashi Kamayatsuで愛称がTibであった。来日して音楽活動をしていたが、時代が戦争に傾くと、ティーブ釜萢の家は憲兵に見張られるようになる。日本の曲だけを演奏するバンドで地方回りをする時も警察官のチェックが入ったという。

ティーブ釜萢は終戦の一年前に日本国籍を取得。徴兵されて中国戦線に送られ、陸軍の一兵卒として輸送部隊でトラックの運転をしていたという。場所は漢口。敗戦後は戦争捕虜となり、中国人に英語を教えるよう命令されたという。翌年の1946年に帰国後、森山久らとともにThe New Pacific Bandを結成。以後2年間このバンドで活動する。その後、ティーブ釜萢は渡辺弘とスター・ダスターズでボーカルを担当。このバンドには女性歌手がふたりいて、石井好子とペギー葉山だった。初期のピアノは芸大の学生だった黛敏郎が務めた。

ティーブ釜萢が徴兵された事について「戦争も末期になって敗色が濃くなり、兵隊が足りなくなっていたのだろう」とムッシュは回想している(*)が、ほんと、その通りだと思う。

時代は変わり、1976年にLPで出たアルバムのCD再復刻盤がこれだ。

一回目のCD復刻は1997年。十年経っての再復刻は珍しい。企画した方に感謝。

理屈はいらない楽しい演奏と歌。伴奏陣はスイング・ジャズのオール・ジャパンともいえる蒼々たる面々。ピアノと編曲は秋満義隆。このブログでもライブ・レポートを載せた日本スイングジャズ界の大御所である。クラリネットに北村英治。言うまでもなく、名手北村英治である。最近テレビでお姿を見かけないが、お元気なのだろうか。ギターに潮先郁男。今も渋谷毅とツアーをしているベテランだ。トランペットはディキシーランドスタイルの光井章夫。ドラムスはジミー竹内、ベースに池沢行生と、リズムセクションも豪華だ。

この録音のどこかで「伴奏が素晴らしすぎて歌詞を忘れた」とかティーブ釜萢が口にしているが、このような素晴らしいメンバーがティーブ釜萢を迎えたのは、ティーブ釜萢が、その実力だけでなく、みんなから愛されていた証左であろう。この録音の四年後にティーブ釜萢は他界するのだが、そんな気配は微塵もない小粋な歌を聴かせてくれる。ティーブ釜萢の英語は、当たり前だけど、ネイティブである。でも、白人のRの濃い英語とはちょっと違う。どこか穏やかで当たりが柔らかい。それがティーブ釜萢の人間性から来ているのか、日系二世だからそうなのかは、わからない。なお、「ティーブ釜萢&ペギー葉山」等の録音も過去に出ているが、そこまで収集するのは無理だ。僕はレコード収集家ではない。

*『ムッシュ』ムッシュかまやつ著(日経BP社)2002より引用

ティーブ釜萢/SING A SIMPLE MELODY

2,299円(税込) 

2007/05/09発売 [CD]

曲目リスト

1.On the sunny side of the street
2.It’s a sin to tell a lie
3.Walking my baby back home
4.Play a simple melody
5.Cotton fields
6.Swonderful
7.Route 66
8.Bei Mir Bist du Schon
9.Lover come back to me
10.Alexander’s rag time band
11.After you’ve gone

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
わぁ、大変興味深いアルバムです。
しかもなんて豪華メンバー。タワレコにあるかしら。。
Swonderful、大好きな曲です(ダイアナ・クラール◎)。
黛敏郎・・・今この方がご存命なら、さぞや張り切ってメディアに出まくっていた事でしょう、選挙とか(苦笑)。
etchan
2007/06/02 02:47
当時はジャズの人気が高かったので、シャンソンの大御所からクラシックの作曲家までジャズをやっていたんですね。クラシック奏者や軍楽隊出身のミュージシャンが「譜面通りに演奏できる」という理由で進駐軍のクラブに出まくっていた頃のことです。しかし、ジャズを演奏するのは難しかったそうな。アドリブは譜面に書いてませんしね。そういう日本人にジャズのビート感覚や英語の発音を教えたのがティーブさんたち二世だったそうです。

黛敏郎なんて懐かしい名前です。考え方は合わないけど「題名のない音楽会」は見てました。黛は、他のジャンルを誉めるような態度でいながら、実はクラシック至上主義者でしたね。(笑)でも、そういう頑固なのも面白い。
asianimprov
2007/06/03 11:15
先日NHKにムッシュがお出になられていました。
子どもの頃、山梨の疎開先を訪ねるという内容で、取材のお礼に、ギター弾き語りで「我が良き友よ」歌ったのですが、ギターコードも、何気にブルージーで、拓郎には無いものと、二人の差を大いに感じました。

こういうセンスが、しっかり身体に染み付いているでしょうね・・・ ムッシュは。
KISHIKO
2007/06/03 13:26
「進駐軍クラブ廻り」をしていたムッシュと、「広島フォーク村」出身の拓郎では、生きてきた時代も環境も全然違いますからね。ブルージーなのはティーブさん譲りでしょう。
asianimprov
2007/06/29 17:45

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