「二世行進曲」の光と闇 - 古賀政男の複雑怪奇 (追記あり)

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二世行進曲はやはり只の曲ではなかった。誰も書かなかった古賀政男を追った問題作『謎の森に棲む古賀政男』下嶋哲朗著(講談社)1998を入手した。ざっと眼を通しただけだが、驚愕の事実が述べられている。と同時に、ターミナル島(この島については別の本を取り上げたばかりだ)という特異な空間や、二世行進曲の破壊という事実に、不肖asianimprovは震撼させられるばかりである。

これだけではなんのことかわからないだろうが、この本は、二世行進曲の光と闇、そして、「謎の森」の住人、古賀政男の人となり、更に、当時の日本政府が日系二世をどのように組織し利用しようとしていたかまで、興味の尽きない渾身のノンフィクションである。かてて加えて、収容所と二世バンドの詳細まで調査し、生々しく記述されているのが印象深い。こんな仕事があったのだ。これに比べて、ブログ主のエッセイの何と軽いことか。(-_-)

日系アメリカ人二世の歴史地理学や社会学的研究をしている学者も、文化に興味を持つブログ主のような者も、日系文学を読み込んでいる研究者も、二世、特に親日派の多くの二世と古賀政男との密接な関係と、開戦による関係の崩壊、そして、「古賀政男スパイ説」までは論じていない。もしかすると、論じたひともいるかもしれないが、極めて稀だろう。

しかし仕方がない。二世行進曲は、日本国内では遂に一度も演唱されなかった「誰も知らない古賀政男の曲」であり、正反対に、戦前の米国では二世により広く歌われた有名曲であった。プロパガンダの曲でもあった。この点はKISHIKOさんの指摘が的を射ていた。私の考えは甘すぎた。恥ずかしい。

<滞羅中の古賀政男氏「二世行進曲」作曲~募集歌詞に適当のものなく~歌詞も同氏が作る> 日系市民協会では、シェラマドレ滞在中の古賀政男氏に第二世行進曲の作曲を依頼し、一般より歌詞募集中のところ、文句はいいが唄ふのに適するのが少ないので、古賀氏の作詞作曲になったものを来る三月廿六日夜大和ホールで演奏、その収入を市民協会の基金とすることになった。> 「福島地方の歴史物語」より引用

なんと、「二世行進曲」は日系市民協会(JACL)からの要請により作られた曲であった。

そして悲劇が訪れる。日米開戦と同時に、おびただしい枚数の「二世行進曲のSPレコード」は、それを愛唱していた二世たちの手によりことごとく破壊されたのである。日本的なものをすべて処分するのが、FBIによる拘束を免れるための方途のひとつであった。

じっくり読んでいないので That's all for now である。ちゃんと読んでから、再度、書き込みするつもりだ。

しかし、古賀政男とは、かくも複雑怪奇な人間であったのか!

「複雑怪奇」は表現が過ぎるかもしれない。しかし、天才が故の底なしの闇を抱えて生きたのが古賀政男だったようだ。

まいった。m(_ _)m

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