森繁久彌とアイザック・スターン

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たぶん日本のメディアは森繁さんの死去で忙しくなっているだろう。僕はインターネットのおかげで訃報に接することができたが、子供の頃からテレビなどでずっと見てきた、ほんとに長く見てきた俳優さんがいなくなるのは寂しい。

記憶だけで書くのでこのエピソードが事実かどうかはわからないが、1970年代に、来日していたアイザック・スターンが森繁久彌さんが主演の「屋根の上のバイオリン弾き」を観て、「あのモリシゲという役者は日本人なのに何故我々ユダヤ人の心をあれほど深く理解できるのか!」と大感激し、次の日に、ミスター・モリシゲのために是非とも一曲弾きたいと楽屋に来たことがあったそうだ。

ところが、森繁さんはアイザック・スターンのことをまったく知らず、どこかの酔狂な外人がバイオリン片手に押し掛けてきたと思い、付き人を通じて演奏を断ったそうだ。スターンはいかにも残念そうな表情でその場を去った。

その後、その酔狂な外人が実はユダヤ系アメリカ人で世界的バイオリニストであるアイザック・スターン本人であることがわかって回りは大騒ぎ。(笑)この事がきっかけで、その後、スターンと森繁さんは交流を深めたという。

クラシックの演奏家が、特定の個人のために演奏するというのは、その個人に対する最高の敬意を示す行動なのだそうだ。それを知ってか知らずか、アッサリと断ってしまった森繁さんらしい<軽さ>と、それにもかかわらず森繁さんと友人になったアイザック・スターンの人柄って、なんだか素敵だと思いませんか?(笑)

天国でも、森繁テビエは、アイザック・スターンのバイオリンに合わせて踊っているに違いない。

月並みなことしか言えないけれど、そんな想像をしています。 合掌。

追記:以上のエピソードが、本当にあったことなのか、これに近いことがあったのか、それとも作り話なのかはわからない。ただ、いつかは忘れたが、こういう話をテレビかラジオか本か雑誌で知った記憶がある。もし真相をご存じの方がおられたら是非ご指摘や訂正をお願いいたします。

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この記事へのコメント

etchan
2009年11月12日 00:03
ほのぼのとしたエピソードですなぁ。
今頃、ふたりともお星様(Stern)となって、仲良くフィドラーしておられる事でありましょう
2009年11月14日 23:23
森繁さんの後の「屋根の上の・・」でも、バイオリンを弾く場面では、アイザック・スターンが録音したものを流しているらしいです。いや、バイオリンじゃなくて、フィドルか。「フィドラー・オン・ザ・ルーフ」だものね。サンライズ・サンセット・・

とおりすがり
2009年11月20日 15:34
ついこないだ、11月17日のNHKのラジオ深夜便でそのエピソードをたまたま聞きました。
57年3月20日の森繁さんインタビューの放送の再放送でした。
私が聞いたのは森繁さんが公演後疲れきって休んでいると劇場の係の人が来て外人と日本人が来て会いたいと言っている。
森繁さんは英語も堪能でないし疲れてるので会いたくないと伝えたのだけれどもしつこいので、まず日本人だけ来いと言って日本人が来た。
「アイザックが会いたいと言っている。アイザックは世界的に有名なバイオリニストで、あなたの舞台に感動して是非バイオリンを弾きたいと言っている」と言う。
森繁さんは彼を知らないので断ったが、しつこいのでとうとう外国人を中に入れた。すると外国人は入ってくるなり森繁さんに抱きついて、「お前はユダヤ人だろ。自分はユダヤ人だ。お前はユダヤ人の心を知っている。是非あなたのためにバイオリンを弾きたい」って言ったという話で、それがアイザック・スターンだった、と。
森繁さんは彼を知らないので断ったら「それでは自分の部屋に来てそこでバイオリンを弾きたい」と言いだして、それも断った。
後で有名なバイオリニストだったと知って、何年か後に自分の舞台で使うバイオリンをスターンに頼んだら喜んで弾いてくれた・・・って話でした。
深夜ですし、記憶があいまいですが。
聞きながら色々疑問もありました。(なぜ日本語の舞台をスターンが見たのか、とか。)
ただ、NHKのアナウンサーがその話が本当なのか検証するためにスターンに「森繁を知っているか」と質問したら「彼は私の友達だ」と言ってたとのこと。
とにかくスターンの話はよく知られたエピソードのようですね。
上手く纏まらなくてすみません。
2009年11月20日 19:39
>とおりすがり様

詳細なご説明に感謝です。おそらく私はその57年に放送されたラジオ番組を聞いていたのでしょう。大筋では合ってましたが、記憶とは危ういものです。

日本語で演じられていても、「屋根の上の・」は有名な劇ですから・・。言葉を越えた森繁さんの演技にアイザック・スターンは魅せられたのでしょう。さすが森繁久彌、さすがアイザック・スターン。わかる人にはわかるんですねぇ。
別になし
2010年02月13日 10:25
たまたま、スターンのビデオを探していて、このサイトに来ました。いいお話ですね。道に迷って歩いているうちにばったり旧友に会ったような、得した感じです。私の探していたビデオはスターンが日本と中国と韓国の若手演奏家を集めてピアノ、ヴァイオリン、チェロのトリオを組ませて、レッスンを行うドキュメンタリーです。
スターンの音楽と人間への愛がとても良く描かれています。NHKのアーカイブスで保存されていると思いますが機会があったらぜひ見たいと思います。
世捨て人
2010年05月05日 09:55
僕の友人の演劇専門家の話では、スターンに会うのを断った森繁は後日、世界的なユダヤ系ヴァイオリニストだったとわかり、スターンを『屋根の上の…』の特等席に招待したとか。その上演後、スターンは舞台に駆け上がって森繁に抱擁し、くだんの言葉を吐いたんだそうです。どれが本当なのかな?

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