asianimprovのアジア系アメリカ雑記帖

アクセスカウンタ

zoom RSS 従軍司祭からみた原爆

<<   作成日時 : 2007/08/16 21:24   >>

ナイス ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 6

画像


オカザキ監督の『ヒロシマ/ナガサキ』(WHITE LIGHT/BLACK RAIN)には先祖代々カトリック教徒という被爆者が出てくる。また、カトリック教会が運営している孤児院で暮らしていた女性被爆者もふたり登場し、貴重な証言をしている。広島市の原爆ドームのようなシンボルがない(最近の週刊朝日によると、残っていた浦上天主堂の一部は政治的に?保存されなかった可能性があるという)長崎市は、ご承知のように、キリスト教徒、特にカソリックの街である。

映画で被爆者(深堀悟)は語る。

「自殺しようかと思ったことも何回もあるんですよ。あるんだけども、私たちはローマカトリックでしょ。自殺は許されていないから、辛抱して、未だに生きてますけど」(採録シナリオより引用)

長崎に原爆を投下したB-29の名前はボックス・カーといった。機長の名はチャールズ・スウィーニー。ボストン出身のアイルランド系で、熱心なカトリック教徒であったという。そのスウィーニー少尉(当時)とマリアナ諸島のテニアン基地で知り合ったテニアン基地従軍司祭のジョージ・ザベルカ神父は、スタッズ・ターケルのインタビューに応えてこう語る。

「(前略)広島のニュースを聞いたときの私の反応は、分裂してた。(中略)当時、罪の意識があったのを思い出せないんだ。(しかし)長崎がカトリックの街だったのを知って、少し気持ちが変化したことをいわなければならないね。原爆は浦上という郊外の真上に落ちた。天主堂の数百メートル以内のところにだよ。そこはほとんど全員がカトリックの地区なんだ。聖フランシスが四百年前に来て、日本に信仰を持ち込んだ。そこは、将軍が信仰を根絶しようとして、数千人のキリスト教徒が殉教したところなんだ。そこにボストンの善良なアイルランド系カトリック者チャールズ・スウィーニーが飛行機を操縦してきて、爆弾をおとし、仲間のキリスト教徒を殺す。同胞が同胞を殺すんだ。」 ジョージ・ザベルカ神父 
                − 『よい戦争』スタッズ・ターケル著(晶文社)1985 P.560-561

このザベルカ神父もアイルランド系らしい。テニアンの捕虜収容所では日本人神父と一緒にミサをしたと話している。テニアンの日本人神父!。そんなひとがいたのか。この後、ザベルカ神父(階級は大尉)は日本へ上陸し、長崎にも訪れている。久しぶりにこの本を手に取ると、活字と活字のあいだから声が聞こえてくる・・ような錯覚にとらわれる。

僕は宗教と戦争の関係とか戦争の皮肉だとかそういうことを言いたいのではない。ただ、この神父が、ひとりのカトリックのキリスト教徒として、自分が経験した戦争を自分のコトバで語り尽くしているのだと、そう感じただけだ。

『よい戦争』には個人的な思い出もあり、分厚い本なのに内容を覚えている。『ヒロシマ/ナガサキ』を見た後、この従軍司祭のインタビューを思い出し、今夜、ページをめくったら見つかった。その結果が今回のブログである。それだけのことだ。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 1
ナイス

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
>この神父が、ひとりのカトリックのキリスト教徒として、自分が経験した戦争を自分のコトバで語り尽くしているのだと感じただけだ

わかります。歴史本の記述や政府の見解ではなく、生の人間として体験したことを本音で語る人々に、わたし達は耳を傾ける必要があると思います。個人の体験だからそれぞれが異なって当然。同じ出来事でも180度違う感じ方が存在するわけですよね。それだけに戦争のことを語るのは非常に難しいな、と感じました。
よくいわれるのは、外国に家族や親戚、親しい友人がいれば、その国との戦争は誰も決して望まない、ということ。わたしもそう思います。ザベルカ神父にとって長崎のカトリック教徒は「他人」ではなく「同じ宗教を信じる仲間」なのですよね。世界中に自分の「仲間」が増えれば、戦争は減っていくはず・・・理想論かもしれないけれど、そう信じていたいです。
じゃすみん茶
2007/08/16 21:40
所詮、大きな歴史の流れには何ものも逆らえない、ですね。宗教も。
権力に擦り寄る様はカトリックも仏教も全く同じ。従軍司祭も従軍僧も”よい戦争”だと説教したんでしょうね。
トド
2007/08/17 12:38
「よい戦争」などあるのか?、というのがこの本の問いかけなんですが、「戦争で英雄になったほうが、今みたいにフリーターで閉塞した暮らしをしているよりいい」と言う若い人(NHK)もいる昨今、平和と戦争の意味をしっかり考えないと、足をすくわれそうな気がします。経済が停滞し、社会の流動性が失われた時代に戦争が起きているのは本当だからです。

従軍牧師も従軍僧もある種の「教え」を伝えたのでしょうが、それが兵隊にどういう意味があったのか、また、牧師たちにとってどういう意味があったのか、知りたい気もします。
asianimprov
2007/08/17 19:34
またまたお邪魔しま〜す。^^

>経済が停滞し、社会の流動性が失われた時代に戦争が起きているのは本当だからです。

ホンマですね。私くらいの年端のいかない(爆)人間なりにでも、世界の情勢を見ているとそう思えます。(で、いまアメリカはまだ中東との戦争中なんですよね?終わったんでしたっけ?)ハッキリと焚き付ける様なプロバガンダとか、深刻なアナウンスのないまま勝手にズルズルっと舞台が廻って、実はstate of warになってるという状態が来ることが起こり得るとすれば、とても怖いですよね。大々的には発表しないが、実質はやっとります…という形が当たり前になったらと思うと気持ち悪いですね。しっかりしてないとダメやなあ。10代、20代、の男の子らの書くことを見ていると、武士道やら愛国やら、私の耳で聞くと「なにを明治生まれのじいちゃんみたいな古臭いことを…」と思うような言葉が、新しい物みたいに自慢げに書かれている場面に出会う機会が増えてきています。目に見えない深層心理からのコントロールがこわいですね。戦争は一部の人間にはよほど儲かると見えます。
chi-B
2007/08/17 21:44
chi-Bさん

「戦争は必要悪だ」という命題をどう解決するか、ということが問題でしょう。単に「人殺しはいけない」では後ろ向きの平和論になる。深層心理−集団主義みたいなもの−も問題ですが、閉塞感を突破するための合理的方法として「戦争」が選ばれないようにするにはどうすればいいかを考えないと・・。「戦争は儲かる」のは確かでしょうね。米国は兵器業界のために戦争をしているように見えます。
asianimprov
2007/08/19 23:39
要は、石油を支配している世界の一部の人々が、石油をより高く売り、富を独占するために、「石油を最も多く消費する」「戦争」を仕掛けているのでは・・・と思います。

戦争は石油の消費行為で、軍事産業や石油産業を拡大するには、戦争が必要。しかし、民意を煽り、誘導することなしに、戦争をはじめることはできない。そのために、戦争の口実を探し捏造するために日夜奔走しているのでしょうね。その結果、情報操作に日々翻弄され、事実から遠ざけられているのでは・・・と思いますが。
KISHIKO
2007/08/20 23:22

コメントする help

ニックネーム
本 文
従軍司祭からみた原爆 asianimprovのアジア系アメリカ雑記帖/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる