アジア系アメリカお笑い集団 - 18 Mighty Mountain Warriors

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18マイティー・マウンテン・ウォリアーズは1990年代前半から活動を続けているアジア系アメリカ人によるコメディー集団だ。このDVDは彼ら(メンバーには女性もいるが)のスケッチ(コント)やプロモーション活動をまとめたもので、今年の北カリフォルニア・エミー賞の部門賞を授与されている。そんなことより、こいつらは実にファニーで実に真面目だ。スケッチにはエスニシティーや偏見、差別を扱ったものもあるが、まったく馬鹿馬鹿しいナンセンスな出し物(生理用品の変遷とか(^^;))もあり、アジア系アメリカ人だけを観客に設定したものではない。

アジア系アメリカのジャズと同様に、アジア系アメリカのコメディーは、定義付けされていないジャンルである。だから、18MMWは自分達がやっている舞台を通じてアジア系アメリカのコメディーを定義付けし意味付けしているわけで、こんなスリリングな、しかしリスキーな仕事はない。実際、2005年に設立されたアジア系アメリカ人を視聴者に絞ったふたつのテレビ局(ImaginAsianとAZN)が18MMWにオファーをしてきたのだが、最終的に、18MMWのパフォーマンスはこれらの局のプログラムに載ることはなかった。彼らのスケッチがあまりに過激だからというのが理由だったのだろうか。モンティー・パイソンに影響を受けた18MMWだから、皮肉の効いたコントは当たり前だし、アジア系どうしの摩擦や軋轢も出てくる。

メンバーたちも大変だ。サンフランシスコからLAに拠点を移すのは、ショウビジネスをするには遙かに有利になるが、チャンスが多いだけ競争も激しい。そんな団員の悩みなどもこのビデオには挿入されている。また、「アジア系アメリカのコメディーでもそれが面白ければメジャーな世界でも通用する」という考え方と、必ずしもそうとはいえないという、距離を置いたコメントの両方が紹介されているのも面白い。

自分たち自身をいかに笑い飛ばすかが大切だ、とこのビデオでコメントしているひとがいるが、まさにその通り。彼らのネタの幅は広い。「中国人のゲイシャ」「ブルース・リーの料理教室」「2002年ワールドカップ・サッカーの日本と韓国」(上写真)「日系人収容所での忠誠登録」・・と、失笑と爆笑の連続である。中には「アジア系アメリカ映画」というスケッチもある。(笑)テンポが遅く退屈な映画=アジア系アメリカの映画、という観点で自分自身を笑い飛ばしているが、これにはまいった。(笑)

18MMWの芸を見ていると、アジア系アメリカ人はくそ真面目で勉強ばかりで面白みがないという先入観が大きな誤解であることがわかる。また、彼らの笑いは一発ギャグに頼る最近の日本の「お笑い」とは違い、練られた脚本による起承転結のある舞台劇であり、何度も再演可能だ。アジア系アメリカ人ならではの表情や体の動きやコスチュームも楽しい。中には「こんな格好をして大丈夫か?」という衣装もある。(笑)

アジア系アメリカ人のコメディーは、マーガレット・チョー他のスタンダップコミックを含め、アジアのアジア人がアメリカ合衆国の文化を、特に、アジアとアメリカ合衆国との微妙な関係性を理解するときに最適のテキストになりうる。何に対して「可笑しい」と感じるのかは、その社会の価値観や階層などを映し出す。笑い飛ばす対象と笑い飛ばし方の構造に、その笑いが起こる社会に住むにんげんの心理を読みとることは充分可能だ。無論、英語を母国語にしない私たちには、ジョークを理解するのは至難の技であり、例え聞き取りができても、「これって、どこが可笑しいの?」ということはよくある。しかし、「ジョーク」や「笑い」のないアメリカ合衆国はないし、自らを笑い飛ばすことができる文化は成熟した文化なのである。

なお、リーダー格の日系人グレッグ・ワタナベは幾つかの映画やテレビでおなじみ。二世部隊の映画"Only The Brave"にも出ている。18MMWの舞台音楽を作曲しているのは三世のジャズピアニスト、アート・ヒラハラである。

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この記事へのコメント

じゃすみん茶
2007年07月15日 22:56
面白そうですね!モンティーパイソンは子どもの頃大好きでよく見ていました、懐かしい!このグループのDVDも見てみたいです。マーガレット・チョーは有名人ですね。あと、日本人男性の1人コメディもどこかで受けていると聞いたことがあるし、これがアジア人のステレオタイプを打破するきっかけになればいいですね。
2007年07月16日 10:26
ステレオタイプを笑いのネタにしつつ壊していくというのがとりあえずのアジア系アメリカ人コメディアンの目標なのかなと思います。これって書くのは簡単ですが実行するのは難しい。利用しつつ否定するわけだから。

マーガレットの場合は、以前にもこのブログに書きましたが、「ゲイ好き」とかお母さんとの関係などが付加されている。NYでうけている日本人男性コメディアンのことは日本のテレビで見ました。「僕たちアジア人は女の子にウインクしても気づかれないんだ。目が細いから」というジョークは面白かったです。身体的特徴は笑いにしやすい。

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