asianimprovのアジア系アメリカ雑記帖

アクセスカウンタ

help リーダーに追加 RSS ランディー・ニューマン健在 − Korean Parents

<<   作成日時 : 2008/09/06 09:31   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 6 / トラックバック 0 / コメント 12

画像


若い皆さんはランディー・ニューマンなんて知らないだろうが、ブログ主などはデビュー当時から輸入盤で聴いているので、アメリカの現実というか、ホンネはランディー・ニューマンの歌から学んだみたいなものだ。ボブ・ディランのような、ポピュラー音楽のスタイルを一変させた改革者(無論、ディランがそれを目指したのではなく、結果としてそうなった面もあるが)ではないが、1960年代後半から2008年まで、基本的に微動だにしないやり方で曲を作り詞を書きピアノを弾き歌い続けている。映画音楽で知られるようになってから自作自演アルバムのリリースは少なくなったが、出たものはいずれも濃い。ボックス・セット"GUILTY"は僕の悪魔払いになっている。ランディー・ニューマンの音楽はホラー映画なんかより余程怖い。悪魔だって避けて通るに違いない。

数年前の"BAD LOVE"以来の新作がこの"HARPS AND ANGELS"で、冒頭のタイトル曲からして自分の為の葬送曲みたいなもので、死の臭いと上質のユーモアそして皮肉が聴く者をニヤリとさせる。そして、64歳のランディー・ニューマンが健在なことを喜ぶ。

7曲目のKorean Parentsではニューマンらしさが炸裂している。

Korean Parents

作詞作曲:Randy Newman

Kids today got problems
Like their parents never had
Neighborhoods are dangerous
The public schools are bad
At home there are distractions
So irresistible
The hours fly by
No work gets done

Some Jewish kids still trying
Some white kids trying too
But millions of real American kids
Don't have a clue
Right here on the lot
We got the answer
A product guaranteed to satisfy

Korean parents for sale
You say you're not all
That you want to be
You say you got a bad environment
Your work at school's not going well

Korean parents for sale
You say you need a little discipline
Someone to whip you into shape
They'll be strict but they'll be fair

Look at the numbers
That's all I ask
Who's at the head of every class?
You really think
They're smarter than you are
They just work their asses off
Their parents make them do it

[Saleslady]:
Oh, learn to play the violin
Oh, to turn your homework
In right on time

What a load off
Your back that will be
No tears
No regret
Never forget who sent Fido
To the farm

The greatest generation
Your parents aren't
The greatest generation
So sick of hearing about
The greatest generation
That generation could be you
So let's see what you can do
Korean parents and you

ここまで来ると(笑)風刺とか当てこすりとか逆説とかいう表現では追いつかない。(笑)ランディー・ニューマンはレイシスト!だと怒る韓国系アメリカ人がいても不思議ではない。しかし、アメリカ合衆国における人種差別の裏側まで織り込んだ歌を何曲も発表しているランディー・ニューマンにとって、韓国系アメリカ人の親が子供に強要する高学歴とそのためのガリ勉主義を歌にすることは極めて通常のことである。

長いファンである者は「おお、今度はこうきたか!」と苦笑しつつ、誤解を恐れぬ曲作りに「ランディー・ニューマン健在」を確認するのである。ランディー・ニューマンもとうとうアジア系アメリカ人についての曲を録音したか、という妙な感慨もあるが、そんなことより、下手な翻訳を許さぬ(笑)歌詞とおどけたような歌い方に、ランディー・ニューマンらしい過不足のないやり方に感心してしまう。この曲の歌詞にしても、口語的なイディオムを解釈するのは難しいとはいえ、使われている英単語は易しいものばかりで、そして簡潔だ。それでいて、アメリカ合衆国の本質を突いている。

ダラダラダラダラと長い歌詞ばかりが歌われる最近のJ-Popには辟易していたが、このCDを聴くと、Singer/Songwriterの王道を見るような気がする。ランディー・ニューマンは語り部であり、言葉数の少ないラッパーである。決して古くない、というより、現在を意識している。大統領選挙の真っ最中に"A Few Words In Defense of Our Country"のような超激しいアメリカ合衆国批判の曲が入ったアルバムを発表するその勇気に拍手を贈りたい。

設定テーマ

関連テーマ 一覧

月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 6
なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(12件)

内 容 ニックネーム/日時
ランディー・ニューマンの歌は聴いたことないのですが(わたしは若くもないけど 苦笑)、この歌詞はシニカルで面白いですね。わたしは読みが浅いのか、韓国系への差別的な意味合いより、むしろマジョリティである人々への皮肉を感じたんですが。あと数十年すれば今マジョリティである人々はマイノリティの立場へと一転する。そういう状況もふまえて、「おまえたちなにしとるか」というメッセージもあるのかなあ・・・と。歌詞の中の韓国人、わたしの友人・知人の姿とダブりました(笑)。
でも、わたしの住んでいる地域では、韓国系以上にすごいのがインド系と中国系。みんな判を押したように「目指せ医者!弁護士!」ですから。小さいときから親にそういい聞かされているので、子ども達も当然医者か弁護士になるものだと思い込んでいるみたいです。そのうち現実の壁にぶち当たって悩む子も出てくるんだろうけど・・・。
話がずれてごめんなさい。
じゃすみん茶
2008/09/07 21:43
>じゃすみん茶さん

やはり、在米の皆さんからの反応が早いですね〜。ありがとうございます。(^^)

おっしゃるように、Korean ParentsをChinese ParentsやIndian Parentsにしてもこの曲は成立します。ニューマンは大きな韓国系コミュニティーのあるLAの人なのでこういう曲ができたのでしょうね。

アジア系アメリカ人の側からは「すべての韓国系の親が勉強を強要しているわけではない」「ステレオタイプを強化する歌詞だ」という異論が出ているでしょうが、ご指摘のように、ニューマンは「アメリカ合衆国の現実」を敢えて歌っているのであって、アジア系アメリカ人親子の異様さを排斥しようとはしていない。

なお、ニューマン自身はユダヤ系です。ユダヤ系の少年(→自身のこと)を歌った曲も書いています。「眼鏡をかけている子供」(=勉強ばかりしているガリ勉)を意味する"Four Eyes"という曲です。機会があれば是非ランディー・ニューマンを聴いてみて下さい。(映画「トイ・ストーリー」の音楽でも有名です)
asianimprov
2008/09/07 23:24
ああ、やっぱりニューマンさん(元々はノイマンさんかしら)、トイ・ストーリーやモンスターズ・インクの音楽担当の方なのですね。
ほのぼのとあたたかい曲を作る方、というイメージしかなかったのですが、なるほど、そもそも骨のあるアーティストであらせられるのだなぁ、と勉強不足をしみじみと感じましたです。だからアニメのサウンドトラックでも力を抜いているようで実は手抜きはしていないサウンドだ、と。
etchan
2008/09/08 00:02
ランディー・ニューマンは映画音楽の作曲で有名な一家に育った人で、メロディー・メイカーとしての才能にあふれていますが、同時に、「こんな歌詞を歌って大丈夫か?」という曲を書いて、たまにそれがヒットすると、州によっては放送禁止になるという・・そういう問題児です。問題児ももう熟年ですけど。「背の低い人間には生きる資格はない」という曲"Short People"とか・・(笑)ランディー・ニューマンは確か190cmほどの長身なんです。あと「ニューヨークなんか大嫌いだ。連中は猿みたいな服を着ている。シカゴは寒すぎる。やっぱりLAが最高だ」という、徹底的にLAを賛美する曲"I Love LA"とか。
asianimprov
2008/09/14 21:08
僕もランディニューマン大好きなんですよ。今度のアルバムも手に入れてあるんですが、まだ聴いてなくて、今出張中なんですが、帰宅したら聴くの楽しみにしています。

好きな曲、沢山あるんですが、僕は、新婚の頃、結婚の理想と現実に、ご多分に漏れず悩んだ時期がありまして、そのとき、救いになったのが、バッドラブに入っているフロイトの歌でしたよ(笑)。今は、娘を軸に家庭は落ち着きを得ているんですが。

いい歌、本当にたくさんありますね。本領発揮の皮肉屋な歌もいいけど、父親の臨終に立ち合う娘の歌とか、直球の歌もいいんですよね!

この人こそ、自分を客観的に見れる人ですよね(笑)。

僕は、家でひとりお酒を飲み、それがいささか過ぎた頃に、彼のローリンって曲が頭の中を回っていくんです。
岩下和了
2008/09/18 02:43
ごめんなさい。バッドラブで感動したのは、フロイトじゃなくて、マルクスの歌です。

マルクスは、みんな平等に豊かな暮らしを実現するって理想に燃えた青年だったけれど、今の俺を見たらどう思うだろう。父兄参観日に学校に出掛けていって目にしたのはキラキラした美女の群れだった。世の中は決して平等じゃないよっていう、確かそんな内容の歌。

語り部の愚かさ、滑稽さと、でも、気持ちのわかるところ、そして、その個人的な感慨が、社会制度としての共産主義の非現実を裏打ちしつつ、資本主義の無情を、そこはかとなく感じさせるところにつながってしまう、見事な曲と思っています。

父兄参観日のヤンママに感じたことをマルクスに結びつけるなんて。

もちろん、悪趣味な歌。この歌を僕が好きだって知ったら、かみさんは傷つくでしょう。

でも、私達の生きてる世界を見事に描写してる。

だからこそ、新婚当時の私は、救われたんですよ。
岩下和了
2008/09/18 03:10
ご存じのように、ランディー・ニューマンはアインシュタインについての曲(これがまた名曲!)も書いてますので、別にマルクスであっても驚かないんですが(笑)、実に哀しいんですよね。

でも、皮肉だけじゃなくて、現実の厳しさ、「人間の持ついかんともしがたい切なさ」を音楽に収めることができるのがランディー・ニューマンなんでしょう。スケベなオッサンの歌もあるし、特定の町を名指しする曲「ボルチモア」「ルイジアナ1927」「I LOVE LA」や、とびきりのラブ・ソング、南部の人種差別の歌、北部の人種差別の歌、レッドネック、アジア系、背の低い人間を哀れむ歌、ユダヤ系の少年の歌、葬送曲、アメリカ合衆国の傲慢さの歌・・

でも、新婚の岩下さんをランディー・ニューマンの音楽が救ったというのが、いちばん良いエピソードですね。(^^)
asianimprov
2008/09/20 20:01
彼の曲で何が好きかってところで、人間現れてきませんか?

僕は、実は、ロンリーアットザトップ、マイライフイズグッド、とかその辺の主題を扱ったのが一番好きなんです、たぶん。年中、口ずさんでいるんですから。スノッブです。

でも、アイルビーホームも、ブルースも、今日は雨になるも、好きですよ。彼は、あれだけ、いろんな人を平気で傷つけておきながら、実は、人間の寂しさ、弱さも、よくご存知ですよね。実は、人一倍あたたかい人なんでしょう。そして、人間の強さに信頼を寄せている人なんでしょうね。

そして、ポリティカルサイエンスやセイルアウェイ、大戦前のドイツ、といった重いテーマの曲も、とても痛いけれど、名曲ということに異存ないです。敢えて、ある固定した視点から描いているから、独特のリアリティとうたの強さ・普遍があるんですよね。

四半世紀前の来日公演、行きました。ソロでピアノ弾き語り。会場のリクエストに応えたギルティに感動したのを今でも覚えています。その後産み続けた名曲を下げて、また来てほしいですね。
岩下和了
2008/09/21 04:40
雨の中を馬に乗って走るカウボーイを歌った「ライダーズ・イン・ザ・レイン」とか、皮肉を込めて警察官のパレードを描写した「ジョリー・コッパーズ・・」とか、テーマが深いだけでなく、完成度が高いんですよね。イーグルスのメンバーがコーラスで参加してたり。

しかし、岩下さんとランディー・ニューマン談義になるとは・・(笑)。渋谷毅談義ならわかるけど。(自爆)

そうそう、アメリカ合衆国の旗のもとに集まろう・・とかいう愛国的な曲もありましたっけ。でも、聴いていると全然愛国歌に聞こえないんだな、これが。(笑)

リーマン・ブラザーズ社に捧げたと言われる(嘘です)It's Money That I Loveのピアノが転がる部分の滑稽さこそ拝金主義のアメリカ合衆国を象徴している・・というのは言い過ぎか?(笑)
asianimprov
2008/09/21 17:48
(笑)
今、渋谷さんについては、語る言葉を持たないんですよ。例えば、一昨日アケタのソロにお邪魔したときも、何ヶ月か連続で通っていて、アケタの店マネジャーの島田さんから「皆勤賞だね」って笑われてしまうくらいなんだけど、でも、今回も感激しました。
例えば、「どうして、こんなに、キラキラした音が鳴るんだろう?」とか「ジャスタジゴロって、こんなに美しい曲だったのか」とか、「ああ。このわずか2時間ほどの間に、アメリカ音楽の一番良質な部分の歴史が・・・」とか、そりゃあ、いろいろ思うんですが、そういう感慨を口にするのは、はばかられるんです。「いや、それだけじゃないんだ・・・」ってことが山ほどある。だから、言葉はないんです。

というわけで、asianimprovさんも同じでしょうから、渋谷さん談義は、出来そうにありませんね。
岩下和了
2008/09/22 13:05
>岩下さん

アケタの店での深夜ライブですが、アケタ深夜での渋谷さんは「素の渋谷さん」に近いと思いませんか?まさに「ホームグラウンドとしてのアケタの店」って感じで、旅先でのちょっと遠慮した感じとは違う、豪快で能動的な渋谷毅が堪能できるのが西荻の深夜ではないか・・と。

私は3回くらいしか経験がないので、たまたまそうだっただけかもしれませんが・・(笑)

いかん。渋谷さん談義は出来ないはずなのに。
asianimprov
2008/09/24 19:01
今年4月からの半年で、渋谷さん出演のライブは12回お邪魔していて、そのうちの9回がアケタの店。そのうち6回が深夜のソロでした。

だから、アケタ以外で、渋谷さんがどんな演奏されているのかは、まだ想像の域を出ないんですが。アケタのピアノは、なんていい音で鳴るんだろうって、いつも思っています。

たぶん、アケタの深夜のソロは、渋谷さんが、純粋にご自身の為だけに、弾いてらっしゃるような気がしていて、そういう幸せな産まれ方をしている音楽に接することの出来る幸せを、こちらも毎回かみしめている感じなのです。

こちらは、真夜中ならではの、なんというか「背徳感」みたいなもの感じながら、聴かせて頂いてます。深夜でも全く眠気なし。でも、夢見るような気分には幾度も。

私も働き盛り。仕事は結構厄介な局面を迎えていて、一方、家庭は3歳になったばかりのこの世のものとは思えない可愛さの娘を抱えて、そのふたつだけで本当は目一杯の不器用な私なんですが、ひと月に一度、深夜に自分の為だけの時間があることが、逆に、助けになっているのです。

いかん!談義してる!(笑)
岩下和了
2008/09/24 22:00

コメントする help

ニックネーム
本 文
ランディー・ニューマン健在 − Korean Parents asianimprovのアジア系アメリカ雑記帖/BIGLOBEウェブリブログ